この記事を読んでいるあなたは、
- FXのロスカットについて知りたい
- ロスカット制度が設けられている目的を知りたい
- ロスカットを防ぐためのポイントを知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回はそんなあなたに向けて「ロスカットの仕組みや注意点、執行されるタイミングや防ぐためのポイント」についてお伝えしていきます。
なお、日本人トレーダーに人気の海外FX業者については、海外FX業者おすすめランキングにて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ロスカットとは
FXにおけるロスカットとは、為替相場が投資者の想定と逆方向に変動して評価損が生じ、評価損の額がある水準に達した場合に、業者が強制的に決済して取引を終了させるものです。
ロスカットを執行するルールは業者ごとにあらかじめ設定されており、投資家の指示なく強制的に決済されてしまうため、ネガティブなイメージを持たれている傾向があります。
しかし、ロスカットが設けられているのは、投資家の損失の拡大を防ぐためです。
FXは少額の資金で取引が始められ、投資金額と比べて大きな額の取引を行うことができます。
つまり、FXは資金効率が良い取引である反面、証拠金以上の損失が生じる恐れがあり、元本も利益も保証されない取引ということです。
もしロスカットがなければ、投資家は預けた保証金を全額失うばかりか、追加で資金を払わなければならないこともあります。
なお、ロスカットを設定していても相場が急激に変動した際は、証拠金を上回る損失が生じることがあるため、注意が必要です。
ロスカットと損切りの違い
ロスカットと似た言葉に「損切り」がありますが、両者の最も大きな違いはロスカットが業者によって強制的に行われるのに対し、損切りは自分で決済するものであるということです。
損切りは、大きな損失を出さないための措置という点では似ていますが、ロスカットとは異なり、自分で損失が出ることを承知で決済します。
FXは投資金額に比べて大きな額の取引を行うことができるため、資金が少ない方でも大きな利益を生むことができる一方で、自分の資金以上の損失が起きてしまうことがあります。
FXのリスクを受け入れ、大きな損失の拡大を防ぎ、利益を積み上げていくという損失の管理はFXにおいてとても重要です。
ロスカットが執行されるタイミング
ロスカットが執行されるタイミングは、業者ごとにあらかじめ決められています。
一般的なものは、証拠金維持率が一定の割合を下回った際に執行するというものです。
仮に証拠金維持率が50%を下回った際、どのようにロスカットが執行されるのかをみてみましょう。
証拠金として10万円をFXの口座に入金して米ドルを購入したが、後日にレートが下落して、6万円の損失が出たという場合を考えます。
上記の場合、証拠金として預けた10万円の50%である5万円を超える6万円の損失が出た、ということになります。
ロスカットの基準となる証拠金維持率50%を下回ると、強制的にロスカットされるという業者を選んでいる場合、6万円の損失が出た今回は強制的にロスカットが執行されます。
その結果、購入した10万円のうち、強制的に決済されて残った4万円が口座に残ります。
ただ、業者によっては、ロスカットについて、より細かい設定を行うことができるものやアラートメールを送付してくれるものもあります。
以下、代表的なFX会社のロスカットルールです。
FX会社名 | ロスカットルール |
---|---|
DMM FX | 証拠金維持率が50%以下になるとロスカットが発動 |
GMOクリック証券 | 証拠金維持率が50%以下になるとロスカットが発動 |
外為どっとコム | 証拠金維持率がロスカットレベルを下回ると発動
ロスカットレベルは100%~50%の間で10%刻みに設定可能 |
みんなのFX | 証拠金維持率が100%以下になるとロスカットが発動 |
インヴァスト証券 | 証拠金維持率が100%以下になるとロスカットが発動 |
証拠金維持率とは
証拠金維持率とは、純資産に対する必要証拠金の割合のことで、「証拠金維持率=純資産÷必要証拠金×100(%)」という計算式で求めることができます。
純資産とは、預けた証拠金に現在保有しているポジションの利益を加えたり、証拠金から損失額を差し引いたりしたもので、「純資産=預託証拠金残高+約定評価損益-出金予約額」と表すことができます。
また、ここでいう必要証拠金は、設定したレバレッジのもとで、一定額の取引をするのに最低限必要な証拠金の額を指し、自分で設定した倍率に応じて必要となります。
例えば、純資産が20万円あり、必要証拠金が10万円であれば、以下のとおりになります。
純資産(20万円)÷必要証拠金(10万円)×100(%)=200%
以上の計算から、純資産が20万円あり、必要証拠金が10万円である場合の証拠金維持率は200%です。
また、もし保有ポジションに損失が出て、純資産が5万円になってしまった場合は、以下のとおりになります。
純資産(5万円)÷必要証拠金(10万円)×100(%)=50%
以上の計算から、純資産が5万円あり、必要証拠金が10万円である場合の証拠金維持率は50%と算出することができます。
ロスカットの執行を防ぐためのポイント
ロスカットの執行を防ぐためのポイントとして挙げられるものは、以下の通りです。
- 保証金を追加で入金する
- 保有しているポジションを一部決済する
- 低レバレッジで取引を行う
それぞれ見ていきましょう。
保証金を追加で入金する
ロスカットを防ぐためのポイントとして、証拠金を追加で入金することが挙げられます。
そもそもロスカットは、証拠金維持率が低下することで発生するため、追加で証拠金を入金し、ロスカットルール以上の証拠金維持率を保つことができれば、ロスカットの強制的な執行を防ぐことができます。
ただ、追加で証拠金を入金する前に、継続して利益が出る見通しがあるのかということについて注意が必要です。
何度もロスカット回避のために証拠金を入金しているうちに、当初のロスカットで起こる損失以上の損失が出てしまった、ということになりかねないです。
また、ロスカットを回避できたとしても、追加で証拠金を入金しなければロスカットが発動してしまうという可能性も考えられます。
証拠金を追加で入金する際は、慎重に行うほうがよいでしょう。
保有しているポジションを一部決済する
保有しているポジションを一部決済することも、ロスカットを防ぐために重要です。
ポジションとは、FXで注文し、購入したが決済を行なっていない外貨のことを指します。
含み損のポジションや決済が行われていない外貨を複数保有している場合、一部のポジションを決済することで証拠金を増やすことができます。
証拠金を増やすことで、ロスカットルール以上の証拠金維持率を保つことができるようになるため、ロスカットが強制的に執行されにくくなります。
ただし、証拠金の追加の入金と同じように一時的な措置に過ぎません。
相場にトレンドが発生していれば、ロスカットになるリスクは引き続き存在することになります。
また、含み損のあるポジションを保有し続けることは、ロスカットリスクだけでなく、資金が拘束され、新しい取引チャンスを資金不足で逃してしまう可能性もあります。
継続して利益が出る見通しがあるのかを常に確認してから、ポジションの決済を行うことが重要です。
低レバレッジで取引を行う
低レバレッジで取引を行い、ロスカットが発動しにくいような投資を心掛けることも必要です。
FXは、少ない資金で何倍もの大きな取引ができることが魅力ではありますが、同時に大きなリスクを抱えることにもなります。
例えば、1万円の証拠金でポジションを保有する場合、レバレッジ10倍では10万円分、レバレッジ20倍では20万円分のポジションが保有できます。
同じ証拠金でも、レバレッジの倍率で取引できる額が大きく変わってきます。
取引に慣れていない初心者の方は、証拠金に余裕を持った投資を心掛けましょう。
まずは、低いレバレッジの倍率、具体的には1~3倍程度で取引を行い、慣れてきても10倍程度に抑えておくという取引方法がおすすめです。
ロスカットの注意点
ロスカットの注意点として挙げられるものは、以下の通りです。
- ロスカットは間に合わないことがある
- ロスカットにより口座に不足金が発生する可能性がある
それぞれ見ていきましょう。
ロスカットは間に合わないことがある
ロスカットの注意点として、必ずしも適切なタイミングで発動して証拠金以上の損失を防いでくれるものではないということが挙げられます。
ロスカットが間に合わない可能性としては、以下の場合が挙げられます。
- 短期間で急な価格変動が起きる場合
- 週の窓開けで価格に大きな乖離が生じた場合
株式市場や為替市場などで、ごくまれに数秒や数分の間で、大きく価格が変動するフラッシュクラッシュというものが起きることがあります。
このような急落では、下落のスピードが速すぎてロスカットが間に合わないことがあります。
また、FXは土日の取引ができませんが、土日に為替レートに影響を及ぼすような大きな事件が起きると、前週末の終値と、週明け月曜日の始値が大きく乖離して、チャートが窓を開けたような状態でスタートすることがあります。
上記のような変動を窓開けと言い、急激な変動のためにロスカットが間に合わないことがあります。
ロスカットにより口座に不足金が発生する可能性がある
ロスカットの注意点として、口座に不足金が発生してしまう可能性があるということが挙げられます。
為替相場の急激な下落により、ロスカットが間に合わない場合、証拠金がゼロになるどころか、マイナスになってしまうこともあります。
例えば、2019年1月3日に米ドル円相場で、わずか5分間の間にドル円が4円も下落しました。
以上のような急激な相場の変動が発生した場合、ロスカットが間に合わずに大きな損失が発生した段階でロスカットによる強制的な決済が行われてしまう可能性があります。
口座がマイナスになってしまうと、さらに追加で入金が必要になる場合があるため、ロスカットがあるFX業者を選ぶ際には十分な注意が必要です。
ロスカットの注意点、防ぐためのポイントまとめ
この記事では「ロスカットの仕組みや注意点、執行されるタイミングや防ぐためのポイント」についてお伝えしてきました。
ロスカットは、証拠金維持率が一定の割合を超えた場合、強制的に執行されることから、ネガティブなイメージがありますが、投資家を守るために必要なルールの1つです。
FXは小さな資金で大きな取引ができますが、大きなリスクを背負うことになるため、損切りなど、時には損失を覚悟で決済する必要もあることを十分に理解する必要があります。
また、証拠金を追加で入金したり、保有しているポジションを決済したりすることもできますが、まずは、自分の身の丈にあったレバレッジのなかで投資を行うようにしましょう。
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