この記事を読んでいるあなたは、
- FXのスプレッドって何か知りたい
- スプレッドはどうして変動するのか知りたい
- 取引コストとスプレッドは関係あるのか知りたい
上記のように考えているかもしれません。
今回はそんなあなたに向けて「FXのスプレッドの種類・変動要因、取引コストの計算方法」についてお伝えしていきます。
なお、日本人トレーダーに人気の海外FX業者については、海外FX業者おすすめランキングにて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
FXのスプレッドとは
FXにおけるスプレッドとは、通貨ペアの「買値」と「売値」の差のことを指します。
外国為替証拠金取引、通称「FX」は、異なる国の通貨を取引することで、価値の変動から利益を得ることを目指す金融取引です。
FX取引を行う際には、多くの要因が取引の結果に影響を与えますが、その中でも「スプレッド」は非常に重要な要素となります。
FX取引において、通貨ペアの「買値」と「売値」の差額は、FXブローカーの取引所の利益、トレーダーにとっては取引を行う際の実質的なコストとなるためです。
スプレッドがどのようにして生まれるかを理解するために、日常生活の中での為替両替を考えてみます。
海外旅行に行く際、日本円を外国通貨に両替する必要があるかと思います。
ある両替所で1米ドルを140円で購入でき、同じ場所で1米ドルを138円で売却できる場合、購入と売却の差額2円がスプレッドとなり、両替所の利益となります。
同様に、FX取引でも通貨の買値と売値の間にスプレッドが存在します。
あるFXブローカーでドル/円の通貨ペアの買値が149.610、売値が149.608と表示されている場合、0.002円がスプレッドとなります。
例えば、ある通貨ペアを購入し、すぐに売却した場合、スプレッド分の差額が損失として発生します。
つまり、スプレッドが広いと取引のハードルが高くなり、狭いと取引が有利になるといえます。
また、スプレッドの性質として、その幅は取引する通貨ペアや市場の状況、取引のタイミングによって変動します。
市場が安定しているときや取引量が多い時間帯は、スプレッドが狭くなることが多く、市場が不安定で取引量が少ない時間帯は、スプレッドが広がることが考えられます。
そのため、どのタイミングが自分にとって有利となるものなのかを意識して取引をする必要があります。
スプレッドの種類
スプレッドには「固定型」と「変動型」の2種類が存在します。
それぞれのスプレッドの型について、詳しく見ていきましょう。
固定型スプレッド
固定型スプレッドは、名前の通り常に一定の幅を保つスプレッドのことを指します。
取引所やブローカーが設定したスプレッドが固定されており、市場の状況が変わってもその幅が変わることはありません。
例えば、ドル/円の買値が0.003円下がると、売値も0.003円下がります。
買値と売値の差は変わらないため、スプレッドは一定です。
固定型スプレッドは、市場の変動が激しいときでも取引コストが一定であるため、予測しやすいというメリットがあります。
しかし、市場が安定しているときには、変動型スプレッドよりも高くなりやすいというデメリットもあるため注意が必要です。
変動型スプレッド
変動型スプレッドは、市場の状況に応じてスプレッドの幅が変動するタイプです。
市場の変動に影響されるため予測が難しく、固定型よりも上級者向けといえます。
時間帯によっては非常に狭いスプレッドで取引ができることがあるため、取引コストを低くすることもできます。
スプレッドと損益の関係
スプレッドが広いと、取引を開始する時点での損失が大きくなります。
取引で利益を上げるためには、スプレッド以上の価格変動が必要になるからです。
以下に挙げる2つの例からも分かるように、スプレッドが広いほど取引で利益を上げるためのハードルは高くなります。
また、通貨の取引量が増えるほど、スプレッドによる損失も大きくなります。
仮にスプレッドが0の場合、取引を開始する時点での損益は発生しません。
価格が変動しない限り、利益も損失も発生しない状態となります。
スプレッドは取引のコストとして直接的に影響を与えるため、トレーダーはスプレッドを常に意識する必要があります。
特に頻繁に取引を行うトレーダーは、スプレッドのコストを最小限に抑えることが、FXでの成功につながります。
例えば、取引量が10万通貨のドル/円の通貨ペアを買値が140円のときに買い、買値が140.01円のときに売るという仮定に基づいた取引は、スプレッドによって、以下のように利益が変化します。
スプレッドが0.002円の場合
買値 | 売値 | 取引量 | |
---|---|---|---|
購入時 | 140円 | 139.998円 | 14,000,000円 |
売却時 | 140.1円 | 140.008円 | 14,000,800円 |
損益 | – | – | +800円 |
例えば、スプレッドを0.002円として考えます。
スプレッド分の損失を取り戻すためには、少なくとも0.002円以上の価格変動が必要です。
つまり取引量が10万通貨の場合、取引を開始する時点で200円の損失が発生していることになります。
スプレッドが0.01円の場合
買値 | 売値 | 取引量 | |
---|---|---|---|
購入時 | 140円 | 139.99円 | 14,000,000円 |
売却時 | 140.1円 | 140円 | 14,000,000円 |
損益 | – | – | 0円 |
次に、スプレッドを0.01円として考えます。
10万通貨の取引での損失は1,000円となり、この損失を取り戻すためには、0.01円以上の価格変動が求められます。
スプレッドが0.002円の場合は、価格が0.01円上がったことで800円の利益が出ましたが、スプレッドが0.01円の場合は、同じ取引でも利益が出ませんでした。
FX会社・通貨ペアによってスプレッドは異なる
スプレッドは、取引を行うFX会社によって異なります。
各FX会社は、自社のサービスや取引ツール、顧客対応などの差別化を図るため、異なるスプレッドを設定しています。
大手のFX会社や多くの顧客を持つFX会社は、一般的に安定した取引環境を提供するため、狭いスプレッドを提供することが多いです。
一方、できたばかりのFX会社や特定の取引方法を提案する会社は、特色を出すために変動スプレッドを採用することもあります。
さらに通貨ペアによっても、スプレッドは異なります。
主要な通貨ペア、例えば米ドル/円やユーロ/米ドルなどは、取引量が多いためスプレッドが狭くなる傾向があります。
しかし、マイナーな通貨ペアや新興国の通貨ペアは、取引量が少ないためスプレッドが広がりやすいです。
通貨の流動性や取引の安定性によって、スプレッドの幅が変動するため、取引を行う前に各通貨ペアのスプレッドを確認することが重要です。
FXのスプレッドの単位/計算方法
スプレッドの単位と計算方法について詳しく見ていきましょう。
スプレッドの単位
FX取引では主に「銭」と「pips」という2つの単位が使われますが、これらはそれぞれ異なる意味を持っています。
それぞれの単位について詳しく説明します。
銭
「銭」は、日本の通貨ペア取引においてよく使われる単位です。
特に円を含む通貨ペア、たとえば米ドル/円やユーロ/円などでのスプレッドの単位として使用されます。
1銭は0.01円を意味します。
仮に米ドル/円のスプレッドが3銭の場合、買値と売値の差は0.03円となります。
この単位は、日本のトレーダーにとって直感的に理解しやすいため、多くのFX会社で採用されています。
pips
「pips」は銭とは異なり、国際的に広く使われるスプレッドの単位です。
円を含まない多くの通貨ペア、ユーロ/米ドルなどでのスプレッドを示す際に用いられます。
1pipsは0.01円を意味します。
仮にユーロ/米ドルのスプレッドが10pipsの場合、買値と売値の差は0.1円となります。
この単位は国際的な取引の標準として採用されているため、多くのFXトレーダーにとって馴染み深いものとなっています。
取引コストの計算方法
FX取引における主な取引コストは、以下の式に従って計算します。
取引量 × スプレッド = 取引コスト
米ドル/円の通貨ペアのスプレッドが3銭で10万通貨を取引した場合を考えると、取引コストは以下のように算出することができます。
100,000 × 0.03 = 3,000
この計算により、10万通貨取引する際のコストが3,000円であることが分かります。
異なる通貨ペアや取引量での取引を行う際も、それぞれのスプレッドと取引量を用いて同様の計算を行うことで、取引コストを計算することができます。
FXのスプレッドの変動要因
FXのスプレッドの変動要因として挙げられるものは以下の通りです。
- 重要な経済指標が発表された前後である
- 流動性が低い時間帯である
- 突発的なイベントの前後である
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
重要な経済指標が発表された前後である
スプレッドの変動要因の一つとして、重要な経済指標の発表前後が挙げられます。
経済指標は、その国の経済状況を示すデータとして、市場参加者の取引判断に大きな影響を与えます。
主な経済指標には以下のようなものがあります。
- GDP(国内生産量):国の経済規模を示すデータで、経済成長の度合いを判断する材料となります。
- CPI(消費者物価指数):物価の上昇率を示すデータで、インフレーションのリスクを評価する際に参照されます。
これらの指標が予想と異なる結果を示した場合、通貨の価値に大きな変動が生じる可能性があり、その結果スプレッドも変動します。
取引を行う際には、これらの経済指標の発表スケジュールを確認し、スプレッドの変動を予測することが重要です。
流動性が低い時間帯である
FX市場のスプレッドは、市場の流動性によっても大きく変動します。
流動性とは、市場における取引の活発さを示すもので、流動性が高いと多くの取引が行われ、スプレッドが狭まる傾向があります。
一方で、流動性が低い時間帯は取引参加者が減少し、スプレッドが広がることが多いです。
流動性が低い時間帯の具体的な例は以下の通りです。
- アジア市場の開始直後
- 年末年始や祝日
FX市場は24時間取引が行われる市場ですが、各地域の市場は特定の時間帯に集中して活動します。
例えばアジア市場が活動を開始する時間帯は、ヨーロッパやアメリカの夜間と重なります。
このため、アジア市場の開始時刻には、他の主要市場の参加者が少なく、流動性が低くなることが一般的です。
突発的なイベントの前後である
FX市場は、世界の経済や政治の動きに敏感なため、突発的なイベントが発生するとスプレッドが変動することがあります。
突発的なイベントとは、事前に予測できない大きな出来事のことを指し、市場参加者の心理や取引の方向性に影響を及ぼすことがあります。
例えば、アメリカ大統領や中央銀行の予期せぬ発言は、短期的な市場の動きを大きく変える要因となることがあります。
また地震や洪水、台風などの自然災害は、その地域の経済活動に影響を及ぼし、スプレッドの変動要因となることが考えられます。
国際的なテロ事件や軍事的な紛争も、関連する国や地域の経済や政治の安定性に影響を与え、スプレッドの変動を引き起こす可能性があります。
突発的なイベントは予測が難しく、市場の動きも一時的に不安定になるため、トレーダーはリスクを常に意識し、適切なリスク管理を行うことが求められます。
FXのスプレッドの変動要因や計算方法まとめ
この記事では「FXのスプレッドの種類・変動要因、取引コストの計算方法」についてお伝えしてきました。
スプレッドは、単位だけを見ればとても小さな差のように見えますが、実際の取引ではスプレッドによって取引額は大きく異なってきます。
スプレッドに注目して取引を行っていくことで、利益にも大きな差が生じてくるため、通貨ペアやFX会社を選定する際もスプレッドに注目することがおすすめです。
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