この記事を読んでいるあなたは、
- FXのバックテストってそもそも何?
- FXのバックテストで使うツールは?
- FXのバックテストは具体的にどうやるの?
このように考えているかも知れません。
この記事では「FXのバックテストの概要や使用するツール、やり方」などについて紹介します。
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FXのバックテストとは
FXのバックテストとは、過去の値動きを元にトレード手法の有効性を検証することです。
有効性を検証することで、今後のトレード方針を定めリスクヘッジを行えます。
バックテストは、大きくEA・自動売買と裁量トレードの2パターンに分けられます。
EA・自動売買のバックテストとは
EA・自動売買のバックテストでは、過去の値動きデータを元に自動売買システム(EA)が利益を出せるか確認します。
そのため、採用を検討しているEAの総損益や勝率の確認が可能です。
また、EAのバックテストを行う場合は、最低1年〜10年分の値動きデータでテストを行いましょう。
データ数が少ないと、信憑性のある結果が得られない可能性があります。
裁量トレードのバックテストとは
裁量トレードのバックテストとは、過去の値動きデータを元にトレード手法を検証することです。
バックテストの方法は、人によってさまざまです。
検証ソフトの利用や、自身でデモトレードする方法があります。
また、裁量トレードのバックテストを行う場合、以下のポイントを踏まえることで信憑性のある結果が得られます。
- トレードスタイルを決める(スキャルピング、デイトレード、スイングトレードなど)
- 使用するインジケータを決める(移動平均線やボリンジャーバンドなど)
- 十分な検証データを準備する
検証データは、トレードスタイルによって準備する数が異なります。
トレードスタイルごとに必要なデータ数は、以下の通りです。
- スキャルピング:最低1年〜3年程度
- デイトレード:最低1年〜3年程度
- スイングトレード:最低5年〜10年程度
また、検証ソフトは、ForexTesterやThink Traderなどが有名です。
それぞれ特徴が異なるため、自身にあった検証ソフトを選択しましょう。
EA・自動売買のバックテストならMT4・MT5がおすすめ
EA・自動売買のバックテストを行う場合、MT4・MT5がおすすめです。
おすすめする理由は、以下の3つがあります。
- バックテストに必要な機能が多く搭載されているため
- 無料で誰でも利用可能なため
- さまざまなEAをダウンロードして利用できるため
MT4・MT5とは、MetaQuotes(メタクウォーツ)社が開発し、世界中で利用されているFX取引プラットフォームです。
また、EAを初めて搭載した取引プラットフォームとしても知られています。
MT4・MT5で利用できるEAは、独自のプログラミング言語(MQL)で開発され、比較的簡単に作成・利用が可能です。
そのため、これまでに数多くのEAが開発され、世界中のトレーダーに利用されています。
バックテストの機能も優れているため、作成したEAの検証にも役立つプラットフォームです。
EA・自動売買のバックテストを行う方法
MT4を用いてバックテストを行う方法を紹介していきます。
MT4でのバックアップ手順は、以下の通りです。
- MT4にログインする
- MT4にEAを設定する
- ヒストリカルデータをダウンロードする
- ストラテジーテスターを開く
- 検証するEAを選択する
- 通貨ペアを選択する
- 時間足を選択する
- スプレッドを指定する
- モデルを選択する
- 検証する期間を選択する
- エキスパート設定を行う
- バックテストを実行する
それぞれ解説していきます。
1.MT4にログインする
まずは、MT4にログインしましょう。
MT4では、画面左上にあるファイルから「取引口座にログイン」を選択するとログイン可能です。
その後、取引口座へログインするための情報を入力します。
必要な情報は以下です。
- ログインID
- パスワード
- サーバー
取引口座をまだ持っていない場合は、FX会社より取得しましょう。
2.MT4にEAを設定する
ログイン後は、MT4にEAを設定します。
最初に、用意したEAをMT4の「Experts」フォルダ内に移動します。
「Experts」フォルダにEAを移動する方法は、以下の通りです。
- 「ファイル」から「データフォルダを開く」を選択
- 「データフォルダを開く」内にある「MQL4」から「Experts」フォルダを開く
- 用意したEAを「Experts」フォルダにドラッグ&ドロップ
次に、EAをMT4に設定します。
設定方法は、以下の通りです。
- 「ナビゲーター」から「エキスパートアドバイザー」フォルダを選択
- フォルダ内にあるEAを選択し、チャート画面にドラッグ&ドロップ
- 「自動売買を許可する」にチェックを付け「OK」で完了
EAが正常に設定されると、チャート画面右上にニコニコマークが表示されます。
また、事前に「Experts」フォルダに移行しないと「エキスパートアドバイザー」フォルダでEAを選択できません。
3.ヒストリカルデータをダウンロードする
ヒストリカルデータをダウンロードします。
ヒストリカルデータとは、過去の値動きをまとめたデータです。
FXDDやAXIORYなど一部のFX業者からダウンロードできます。
ダウンロードしたヒストリカルデータをMT4に適用する流れは、以下の通りです。
まずは、MT4が取り込めるヒストリカルデータの情報量を最大にします。
- チャート上部にある「ツール」内から「オプション」を選択
- 「オプション」ウィンドウ内の「チャート」タブを選択
- 「ヒストリー内の最大バー数」と「チャートの最大バー数」の値を限界値(999999…)まで打ち込む
- 「OK」ボタンにて完了
続いて、ヒストリカルデータを取り込みます。
- チャート上部にある「ツール」内から「ヒストリーセンター」を選択
- バックテストしたい通貨ペアと時間足を選択し、ダウンロードを開始
ダウンロードは時間を要する可能性があるため、余裕を持って実行しましょう。
無事にヒストリカルデータをダウンロードが終了したら、バックテストの事前準備は完了です。
4.ストラテジーテスターを開く
実際に、バックテストを実行していきます。
バックテストを実行するための流れは、以下です。
- チャート上部にある「表示」内から「ストラテジーテスター」を選択
- 画面下側に設定画面が表示されることを確認
「ストラテジーテスター」の設定画面から詳細設定を行います。
設定する項目は、以下の通りです。
- 検証するEAの設定
- 通貨ペアの設定
- 時間足の設定
- スプレッドの設定
- モデルの設定
- 検証期間の設定
- エキスパートの設定
それぞれ解説していきます。
5.検証するEAを選択する
「ストラテジーテスター」内にエキスパートアドバイザー(EA)を選択するプルダウンがあります。
プルダウンから検証したいEAを選択します。
6.通貨ペアを選択する
バックテストを行う通貨ペアを選択します。
EAと同様、「ストラテジーテスター」内でプルダウンから通貨ペアを選択可能です。
7.時間足を選択する
バックテストを行う時間足を「ストラテジーテスター」内にあるプルダウンから選択します。
注意点として、EAによって時間足が限定される場合があります。
そのため、EAの仕様にあった時間足を選択するようにしましょう。
8.スプレッドを指定する
スプレッドを「ストラテジーテスター」内にあるプルダウンから選択します。
実際に取引を行う通貨ペアに近いスプレッドを選びましょう。
スプレッドに関しては「現在地、2、5、10、30、50、100」から選択可能です。
注意点として、スプレッド「5」を選択した場合「0.5pips」を意味します。
値に対して10割った数が、pips値になります。
9.モデルを選択する
バックテストを行う方法をモデルのプルダウンから選択します。
選択できるモデルは以下です。
- 全ティック(利用可能な最小時間枠を使いすべてのティックを生成する、最も正確な方法)
- コントロールポイント(ひとつ下の時間枠を使ったおおまかな方法。結果はあまり信頼性はない)
- 始値のみ(最も早い方法。バーの始めにしか動かないEA向け)
全ティックを選択すれば、精度のよいバックテストが可能です。
ただし、時間を要するデメリットがあります。
コントロールポイントや始値であれば時間短縮が可能ですが、信頼性が低くなります。
10.検証する期間を選択する
「ストラテジーテスター」内で検証期間を選択します。
検証期間を長くするほど、より精度の高いバックテストが可能です。
また、トレードスタイルによって、推奨される検証期間が変わります。
トレードスタイルと推奨される検証期間は、以下の通りです。
トレードスタイル | 推奨期間 |
---|---|
スキャルピング | 最低1年〜3年程度 |
デイトレード | 最低1年〜3年程度 |
スイングトレード | 最低5年〜10年程度 |
11.エキスパート設定を行う
最後に、エキスパート設定を行えば「ストラテジーテスター」内での設定は終了です。
エキスパート設定では、証拠金や買い(Long)売り(Short)の設定などが可能です。
設定時は「ストラテジーテスター」内にある「エキスパート設定」を選択しましょう。
以下3つのタブがあるウィンドウが表示されます。
- テスト設定
- パラメータの入力
- 最適化
テスト設定は、初期証拠金の設定と買い(Long)売り(Short)ポジションの設定が可能です。
パラメータの入力は、LotsやMaximumRiskなどの変数を設定できます。
最適化は、バックテストをストップするルール設定が可能です。
たとえば、連敗数100と設定すれば、バックテスト中に100回連敗した時点で検証をストップします。
12.バックテストを実行する
すべての設定が完了したら「ストラテジーテスター」内の「スタート」ボタンからバックテストを開始しましょう。
バックテストで確認するべきポイント
バックテストで確認するべきポイントを紹介します。
ポイントは、以下2つです。
- グラフで表示されているテスト結果
- レポート
なお、バックテストの結果は「ストラテジーテスター」から確認可能です。
それぞれ詳しく解説していきます。
グラフで表示されているテスト結果
グラフを使って資金の推移の確認が可能です。
横軸が時間、縦軸が資金の推移となります。
グラフの高低差が小さく、ゆるやかな右肩上がりを示すグラフであれば、安定的に利益を上げるEAと言えます。
一方、グラフの高低差が激しいと、実際に運用した際の利益が安定しない可能性が高いです。
総損益がプラスでもグラフの高低差が激しいEAは、よく検討して採用するようにしましょう。
レポート
レポートとは、総損益や取引数、証拠金維持率などの項目を取引結果ごとにまとめたものです。
取引結果の中でもっとも重要な項目は、総損益です。
まずは、総損益がプラスになっているかを確認しましょう。
総損益がプラスであれば、EAを採用する価値があります。
その他、特に確認すべきポイントは以下です。
- プロフィットファクター(PF)
- 最大ドローダウン
- 勝率
- トレード回数
それぞれEAを採用する際の重要な項目のため、必ず確認するようにしましょう。
バックテストで使われる用語|覚えておくべき用語を紹介
バックテストで使われる覚えておくべき用語を紹介します。
覚えるべき用語は、以下の4つです。
- 勝率
- PF
- 最大ドローダウン
- ペイオフレシオ
それぞれ解説していきます。
勝率
勝率とは、バックテストで利益が出た取引がどれくらいかを示す指標です。
計算方法は、(利益が出た取引回数/総トレード回数)×100になります。
EAを選定する際は、勝率の高いものを選ぶようにしましょう。
PF
PFとは、プロフィットファクターの略になります。
プロフィットファクターとは、総利益が総損失の何倍であるかを示す数値です。
そのため、プロフィットファクター(PF)が1.0以上であれば利益が出るEAと言えます。
EAを検討する際は、1.0以上のものを選びましょう。
最大ドローダウン
最大ドローダウンとは、取引開始から終了までに移り変わる資産の最高値と最低値の差です。
差が小さいほど、安定的に利益を上げるEAと言えます。
反対に差が大きいと、取引時期によって損失が膨らみ資産を失う可能性があるため注意しましょう。
一般的に最大ドローダウンは、20%以内のEAがよいと言われています。
ペイオフレシオ
ペイオフレシオとは、「利益が出た取引の平均金額/損失が出た取引の平均金額」で算出される損益比率のことです。
値が大きいほど、効率的な投資を実施していることを示します。
ただし、ペイオフレシオの値が大きくても、総損益でマイナスになる場合があるため注意しましょう。
そのため、ペイオフレシオの値のみでEAの有効性を判断することはできません。
EAの有効性を判断する場合は、勝率やトレード回数の値も合わせて確認が必要です。
バックテストを行う際の注意点
バックテストを行う際には、以下4つの注意点があります。
- 常に冷静な判断が求められる
- バックテストからの改善が必要になる
- 即エントリーはおすすめできない
- 約定力が考慮されていない
それぞれ解説します。
常に冷静な判断が求められる
バックテストと実際に自己資産を運用するのでは、心理的な負担が異なります。
FX取引で常に勝ち続けることはないため、損失が発生した際に冷静な判断が必要です。
損失による不安からバックテストと違うタイミングで損切りすると、検証結果が役立ちません。
そのため、バックテストと同じ取引を行える冷静さと判断力が必要です。
バックテストからの改善が必要になる
バックテストは、過去の値動きを元にEAの有効性を検証します。
そのため、過去の相場から傾向が大きく変化すると有効性の検証が不十分となります。
常に相場の傾向は変わるため、日頃から改善する意識を持って取引することが大切です。
即エントリーはおすすめできない
バックテストで有効性を検証しても、即エントリーはおすすめできません。
なぜなら、バックテストは、即エントリーする前提で作られていないためです。
そのため、実際のトレードで即エントリーした場合、バックテストと異なる結果になります。
基本的にバックテストは、次足エントリーで検証されます。
約定力が考慮されていない
バックテストでは、約定力が考慮されません。
すべて100%約定される前提でバックテストされます。
ただし、実際にFX取引を行う場合、約定拒否やスリッページ発生のリスクがあります。
バックテストの環境よりも実際の取引環境の方が不利になるため、注意しておきましょう。
バックテストのやり方や注意点まとめ
この記事では「FXのバックテストのやり方、基礎知識や用語、注意点」について解説しました。
バックテストは、MT4・MT5を利用すれば比較的簡単に実施可能です。
ただし、ヒストリカルデータの準備や取引ツールの細かな設定が必要になります。
また、初めてバックテストする際は、基礎知識や用語に戸惑う人が多いです。
この記事で紹介した用語や手順を参考にしてみてください。
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